札幌宅地不足と本当の人口密度
こんにちは!専業主婦から不動産鑑定士になった藤田です。
不動産鑑定評価基準には、「不動産の価格は①その不動産に対してわれわれが認める効用②その不動産の相対的希少性③その不動産の有効需要の三者の相関結合によって生じる不動産の経済価値を貨幣額をもって表示したものである。」とあります。
今回のテーマは②の相対的希少性になります。
さて、数年前から、札幌の土地についての不動産業者ヒアリングをすると、「物がない」という言葉が返ってきます。
「札幌の宅地不足は本当なの?」ということを、少し深掘りしたいと思います。
札幌一極集中~なのに建築出来る土地は22%だけ
昨年、北海道新聞に「データで読み解く札幌一極集中」という記事がありました。
その記事には「札幌市には全道に占める人口割合の38%を占めるが札幌市の面積は1%にすぎない。集中度は全国1位で、人口の偏りは際だっている」(2020年国勢調査による数値)とのことです。
ところで、札幌市の面積は1,121.26㎢ですが、その面積全てに建物が建てられるわけではありません。
(札幌市HPより)
【札幌市については、全市域1,121.26km2のうち、南西部の国有林を除く575.84km2(全市域の約51.4%)が都市計画区域に指定されています。
都市計画区域のうち、すでに市街地を形成している区域と、今後おおむね10年以内に市街化を図るべき区域を市街化区域といいます。これに対して、市街化を抑制する区域を市街化調整区域といいます。市街化調整区域は、原則、無秩序な市街化を抑制し、森林や農地などの貴重な自然を保全するための区域であり、建築行為を規制しています。】
ということで、例外を除くと、住宅を建築することができるのは市街化区域のみとなります。
ちなみに札幌市の市街化区域は、25,017㏊=250.17㎢で、札幌市面積のうちの約22%に過ぎません。
そこで、私は思いました。「国有林とか建物が建築できない調整区域を含めた人口密度で集中度をはかるって意味ある?」と・・・。
宅地供給・集中度という観点からは、人口密度(人/㎢)=人口÷全体面積ではなく、市街化区域内密度=人口÷市街化区域内面積の方が有効じゃない?と・・・。
そういうわけで、いつものとおり、市街化区域内密度を札仙広福(さっせんひろふく)とよばれる都市などで比較しました。
※実際には市街化調整区域内にも住人はいるので、人口は市街化区域内人口にするのが正しいです。
市 | 人口(人) | 市街化区域面積(㎢) | 市街化区域内密度(人/㎢) |
札幌市 | 1,960,668 | 250.17 | 7,837 |
仙台市 | 1,068,289 | 180.80 | 5,908 |
福岡市 | 1,632,087 | 163.72 | 9,968 |
広島市 | 1,185,706 | 161.48 | 7,342 |
以上、密度が高いのは、1位が福岡市、2位が札幌市、3位が広島市、4位が仙台市となりました。
ちなみに、平成4年地価公示の住宅地の平均価格は、福岡市が180,100円、札幌市が89,700円、広島市が136,400円、仙台市が104,600円です。
人口集中度と地価との関係をみると、札幌の地価はまだまだ割安なのか?それとも、以前のブログで記載したように札幌市は積雪量というマイナス(?)要因があるので、そろそろ妥当な線まできているのでしょうか?
いずれにしても、札幌市の本当の人口密度は高いということで、宅地不足というのは間違いないのだと思われます。